石川県 脳卒中・心臓病等総合支援センター

TEL076-265-2040

(直通/平日 午前9時~午後5時)

疾患について

食事について

食欲がある方へ

脳卒中や心臓病を予防するためのポイント

脳卒中や心臓病を予防するためには、高血圧や糖尿病、高コレステロール血症といった脳卒中や心臓病を起こす基となる病気にならないようにすること、罹患した場合には進行しないようにすることが重要であり、食事については、次のようなことに気を付けましょう。

塩分の摂りすぎに注意しましょう

日本人の健康な成人の1日の食塩摂取量の平均は10gです(令和元年国民健康・栄養調査より)。
健康な成人の1日の食塩摂取目標量は男性で7.5g未満、女性で6.5g未満です(日本人の食事摂取基準2020年版より)。また、血圧の管理や動脈硬化、腎疾患などの重症化予防の場合の減塩目標量は1日6g未満となります。
食塩を1日に1g減らすごとに、平均血圧が1mmHg低下することが報告されており、まずは1gでも減らす取り組みが大事となります。

塩分を多く含む食品を知り、過剰となっていないか、確認してみましょう

1日に摂取する食塩の大部分を占めるのは、調味料と加工食品に含まれる塩分となります。塩分を多く含む食品としては、漬け物、佃煮、干物、練り製品、加工肉(ハム、ソーセージなど)が代表的です。塩分ゼロや少ない調味料を活用、加工食品の食べる量や頻度を減らしましょう。

以下に提案する工夫を取り入れれば、塩分を減らしても風味が増します。
美味しく減塩を実践しましょう。

  • 酸味を加える
  • 香辛料や香味野菜を加える
  • 出汁(旨味)を効かせる、低脂肪乳を加える
  • 食品の香ばしさを活かす
  • 料理を温めて食べる

減塩を継続できている方へも注意があります。食塩摂取量が少なすぎても、死亡率や心血管障害発症が増加することが報告されています。また、熱中症対策として、多量発汗後の水分補給では少量の食塩追加が必要とされます。食塩摂取量が1日3g未満となる制限は過度となり、推奨されていません。特に高齢者では、減塩による食欲低下となり、食事摂取不良につながっていないかも、注意しましょう。

身体に合わせた食事量・栄養バランスのよい組み合わせを心がけましょう

食べ過ぎを防ぎながら、バランスよく栄養をとることができる「Team DiET(チームダイエット)式ランチョンマット法)」をご紹介します。ランチョンマット法は、ランチョンマットを用いて食事量と栄養バランスの適正化を図る手法です。

ランチョンマット法

方法

(1) A3用紙と同じ大きさのランチョンマットを準備します。

(2) 料理を主食、主菜、副菜、デザートに分類します。

(3) 料理を主食、主菜各1品、副菜を2、3品、デザート1品をランチョンマットからはみ出さないように乗せます。

主食:ご飯、パン、麺類

主菜:魚、肉、卵、大豆製品

副菜:野菜、きのこ、こんにゃく、海藻類

デザート:果物、乳製品、低カロリーおやつ

注意

(1) ランチョンマットからお皿をはみ出さない。

(2) 美しく盛り付ける。

(3) 見た目に肉(魚・卵・大豆製品)1に対し、野菜は2。

次の食事がバランスの整った1日1600kcal たんぱく質60gの食事の一例です。

朝食

  • 食パン(6枚切り)1.5枚
  • ゆで卵(50g)1個
  • 野菜サラダ
  • 牛乳200mL

昼食

  • ごはん 150g
  • 鮭(70g)の塩焼き1切れ
  • チンゲン菜のおひたし
  • こんにゃくと椎茸の煮物
  • りんご1/4個

夕食

  • ごはん 150g
  • 肉(50g)野菜炒め
  • 豆腐(150g)の野菜あんかけ
  • 大根なます
  • みかん1個
魚・低脂肪乳製品・芋・ナッツを食事と間食に取り入れましょう

不足しやすいn-3系多価不飽和脂肪酸、食物繊維や血圧低下作用のある塩類(カリウム・マグネシウム・カルシウム)を補うことができます。

糖分の大量摂取を控えましょう

食事の他に摂っている糖分を見直しましょう。
菓子類・飲み物・果物は1日あたり200kcal程度としましょう。

コレステロールの大量摂取を控えましょう

コレステロール値が高い方は、魚の摂取を増やしましょう。また、動物脂、加工肉、鶏卵の大量摂取を控えましょう。

お酒の大量摂取を控えましょう

アルコールの大量摂取を控え、純アルコール換算で1日あたり20g以下(お酒それぞれ日本酒15% 160ml、ビール5% 500ml、焼酎 25% 100ml、ウイスキー 40% 60ml、ワイン 12% 200ml)に抑えましょう。

食欲が減った方へ

食事量が減った場合の注意点

十分に食事が摂れないことが続いた場合、身体機能の低下や栄養失調をきたすおそれがあります。

たんぱく質が不足すると、高齢者は筋肉が衰えフレイル(健康な状態と要介護の中間にある脆弱な状態)に陥りやすく、運動・認知機能が低下しやすくなります。さらに、加齢にともない骨格筋量は減少します。減少を抑えるためには筋肉量の維持・増大が必要であり、そのために食事で良質なたんぱく質を摂取する必要があります。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では高齢者のフレイル予防の観点から、必要量のたんぱく質を毎日とり入れることが推奨されています。
高齢期の食事はたんぱく質が不足しがちなため、特にたんぱく質を多く含む、魚・肉・大豆・卵・牛乳などの食品を意識してとることもポイントです。高齢者の1日あたりに必要なたんぱく質量は、1.0~1.2g×体重(kg)が推奨されています。
フレイル予防にむけては、体重が50 kgの人なら1日あたり50g~60gが必要です。腎機能障害がある方は医師や管理栄養士に確認ください。

食品の目安量は前述のTeam DiET(チームダイエット)式ランチョンマット法の部分をご参照ください。

食事がとれなくなった時のおすすめレシピ
つるつる豚しゃぶ

材料

豚肉薄切り、片栗粉、カット野菜、ポン酢

豚肉を魚の薄切りに替えてもよいです。

作り方

(1) カット野菜をゆでる

(2) 豚肉に片栗粉をまぶし、お湯でゆがく

(3) (1)(2)の水分をきり、盛りつける。ポン酢をかけて完成

最後に

減塩やダイエットを試みた経験があり、数日で挫折したことがある方へ向けて、まずは1週間続けてみることをお勧めします。1週間という期間で、食塩に対する感受性が改善するとの報告があります。また、習慣化により薄味に慣れることも期待されます。

まずは、具体的で達成可能な目標を設定し、それを実践することで、長期的な習慣づけが可能となるかもしれません。

参考資料

「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022」
医歯薬出版株式会社 「臨床栄養141巻6号 2022 11月」
医歯薬出版株式会社 「臨床栄養別冊 CKD(慢性腎臓病)の最新食事療法のなぜに答える」